ふるさととくぢ集落支援員だより(3月号)

「住民が創る地域運営組織と人材育成」と題した講演会に出席しました。

山形県川西町が平成14年頃から町の財政危機をキッカケに地域が一体となって取り組んできた内容でした。「マンネリ化した組織をどう変えていったか」「その中で若者をどう見出し、地域を担う人材に育ててきたか」「財政をどう立て直してきたか」いずれも身近な問題で学ぶところが沢山ありました。

特に、「地域性が違うからとかいわないで、小さいことからでも動き出して変えて行くこと。現状維持では退歩する」という言葉が強く印象に残りました。

 徳地は有史以来佐波川の恩恵を受けて今日に至っています。先日仲間と川沿いを歩いてみました。一級河川としては水質日本一といわれる通り、澄み切ったきれいな水の流れと小石や砂利が広がった河岸に魅入りました。

一方、イノシシが掘り起こしたままの荒地、草木が生い茂った場所、心ない人が投げ捨てたゴミがそのままになっている所もありました。付近の方に聞くと「昔は皆ここで水遊びをしたり泳いだりしていた」と言われました。仲間と「ここをきれいにする活動を始めよう」ということで意見が一致し、管理している事務所に相談に行きました。

「住民の方が、自主的にこのような活動をしていだだくことに感謝したい。どの地域をどうしたいかの簡単な内容を書いて届け出ていただければ問題ないですよ」と言われたので即日書類を揃えて届け出を終えました。

 きれいな河岸がよみがえれば、大人にも子どもにも憩いの場になり、時にはイベントもできます。お金をかけなくても、立派な遊び場になります。元気な子どもたちが遊び回る光景が目に浮かびます。小さいことから一歩を踏み出す。それが大事だと思います。

                     (集落支援員:市原)

新しい取り組みに対するヒント

 東京のIT企業の方が過疎地域でのビジネス(主に交通関連)を探りに視察に来られ、その意見交換の場に同席しました。

「停留所までどのくらいの距離であれば歩くことが可能か?」とか「ある程度人数が集まらないと送迎するのにも効率が悪い」とか企業目線の質問が相次ぎました。

「田舎の高齢者は街に出かけるときは、例え病院に行くとしても帰りには買い物をして帰る。行きは身軽だから多少歩けたとしても帰りは荷物があるので家まで送ってもらわないと歩けない」

「田舎は車を運転しないと仕事にならない。高齢者が安全で安心して運転できるような技術開発にビジネスチャンスがあるのではないか」等のやり取りをしました。

後日「今回の視察に於いて、大変心動かされるものがあった。社内で情報共有を図り、更に検討を深めたい」旨のお礼のメールがありました。

 相前後して奈良の観光案内をされているボランティアの方々が徳地に来られました。

「東大寺南大門を案内するとき、山口県の徳地でとれた木が使われていますと説明しています。徳地とはどんなところか一度は見ておく必要があるので来ました」と言われました。

野谷や岸見の石風呂をご案内し重源の郷では石風呂に入って実体験されました。法光寺では奈良の南大門の木が徳地産であるという根拠になるお話を住職が熱く語られ、納得と感動をされて帰られました。  

ビジネスにしろボランティアにしろ、自分の目で見たり、確かめたり、自分の5感で感じることによって、またその土地の人の話をよく聞くことによって新しい取り組みに対するヒントがそこにあると思いました。              (集落支援員:市原)

法光寺にて

集落支援員として徳地に来て1年が経ちました

 昨年10月集落支援員として徳地に来て1年が経ちました。最初の頃、藤山浩先生の「徳地の人口分析調査」の報告会が各地区でありました。「このままだと集落が消滅する。何とかしなければ」という同じ想いを持つ人が数人来られ、話し合う場ができました。何回か話し合っていた時、ある方から「地域の事も知らずに話し合いだけしていることに意味はあるのか?」というお言葉をいただきました。

「そうだ。話し合って意識が変わっても行動が変わらなければ意味がない」とその時気付かされ、話し合っている仲間で「出来ること」から行動に移ることにしました。

小学生が自分たちが撮った写真を動画にする手伝いをしたり、高校生の文化祭に協力したり、お祭りで子どもたちに「おにぎりのにぎり方」を体験してもらったりしました。

まだまだ小さなことですが今は小さな積み重ねが大切と思って行動しています。

「色々な行動をされているから、皆さんに活動を紹介されたら」と先にお言葉をいただいた方から声がかかりました。「少しは認められつつあるのかな」と嬉しくなり、今後は「活動をもっと知ってもらう」ことにも力を入れて行こうと思いました。

皆様の「話し合いの場」が徐々に広がりつつあります。「八坂を元気にプロジェクト!」も動き始めました。私自身、徳地のことをもっと知り、集落支援員として今後もこのような話し合いの場づくりを支援したり、時には話し合いに加わって皆さまの考えを引き出すお手伝いができたらと思っています。            (集落支援員:市原)

”心に残った風景”  どこかおわかりですか?

徳地に魅せられて

須賀神社(小古祖)で拓本のとり方の研修会がありました。県内からのお客様を駐車場へ案内するため立っていました。一人の女性が坂道を楽しそうに降りてこられました。近所の人と思って「天気も良いし、気持ち良いですね」と声を掛けてみました。

「つい一ヶ月前に都会からこちらに引っ越してきたばかりなんです。この大自然と空気の清々しさは、実際に住んでみないと味わえないですね。毎日散歩して大自然を満喫しています」と弾んだ声が返ってきました。

「徳地に移り住もうと決心された決めては何ですか?」」と聞くと「永い間、都会の雑踏の中で暮らしてきました。定年を機に、自然に囲まれた、静かな田舎でのんびり暮らしたい。いろいろな田舎を見て回ったが、この徳地がわたしには最高でした」と応えられました。

 先日、全国過疎問題シンポジウムが山口でありました。発表の中で、「地域の人が伝えたい魅力と、来訪者が感じる魅力は違う。だから地域の紹介はしない。来て、見て、感じてもらうことが一番」と言われました。

そうだ!徳地に来て貰って素顔の徳地に接してもらうことだ。それだけの魅力が徳地にはたくさんあることを一人の女性から改めて気づかされました。(集落支援員:市原)

拓本のとり方研修会の一風景

地域と子どものつながり

 中央小学校3年生の総勢12名が「徳地のよさを伝え笑顔の輪をひろげよう」というテーマで開いた写真展に行ってきました。子ども目線で撮った徳地の素晴らしい光景がありました。また、見に来られた方に、自分の撮った写真を笑顔で楽しそうに紹介する姿が、とても印象的でした。

 今、「ワイガヤの会」(出雲地区で進めている会)で「動画プロジェクト」を立ち上げています。地域住民自らが地域の情報を収集し、発信するプロジェクトです。

地域住民が地域に誇りを持つこと、他地域の方が徳地に興味を持ってもらうこと、さらにそれが交流人口を増やし、移住や定住につながることを目的としています。

校長先生にそのことを告げると「子どもたちが撮った写真を活用できませんか」とのお話があり、早速、「動画プロジェクト」でこれらの写真を「動画」にすることを提案しました。

 後日、出来上がった「動画」を校長先生に見ていただきました。「子どもたちが、一生懸命に取り組んだことが、このような形で仕上がるとは子どもたちに良い記念になります。一生の宝物になるでしょう。」「学校が地域と連携することで、すばらしい力につながります」と大変喜ばれ、早速、地域や保護者に紹介していただきました。

 子どもたちが地域に誇りを持ち、住み続けたいと思ってくれるような取り組みを、これからも連携して考えていかなければと強く思いました。

写真撮影/中央小3年生            (集落支援員:市原)