集落支援員だより(9月号)

高齢化が進む過疎の町がお互いに助け合う(共助)気持ちを持って自分たちの交通システムを作り上げた新聞記事が目に留まりました。

北海道中頓別町という人口1800人の小集落での取り組みです。早速、町役場に電話をかけ状況を聞きました。

自分の車が空いているとき、自分の車で、車に乗りたい人を迎えに行って目的地まで連れて行ってあげるという仕組みです。車を持った人は誰でもできるわけではありません。「この車で私が運転します」とドライバー登録しておく必要があります。

一方乗せてもらう方はスマホや電話で申し込めば、その場所に最も近くにいる車が迎えに来てくれます。この車の配車の仕組みを考えた会社はアメリカのウーバーというところで、現在世界70か国、600都市以上でこのシステムが使われています。

日本では今のところ、東京都、京丹後市(京都府)と中頓別町だけです。

町では平成28年から実証実験がはじまり、当初ドライバーはボランティアで無給でした。お客様から「無料では気兼ねで乗れない」の声が多く、今はガソリン代(実費)が支払われています(これですと白タク行為にはならない)。12人のドライバーの方が最初名乗りを上げられましたが今は15人(男11人、女4人)、年齢も40歳台から70歳台。

利用者にアンケートを取ったところ98%の人が「満足」の評価とのことです。

今、徳地でも公共交通システムの検討が進められています。ここに紹介したウーバーシステムは一事例に過ぎません。世の中には徳地に合ったもっと良いシステムがあるかもしれません。検討を進める上で一つのヒントになれば幸せます。

( 集落支援員:市原 )

集落支援員だより(8月号)

ある日の昼下がり、近所の方が「“わが懐かしの出雲”の余分はありませんか」と聞きに徳地交流センターに来られました。話を伺うと、家に配られたものを見て、昔の地図や懐かしい写真に感動され、大阪にいる親戚や徳地を離れて行った知り合いに送ってあげたいのでと言われました。「地域が元気になるとはこういうことなんだ」と、その時思いました。

思い出せるものがある。それをネタにして語り合えるものがある。遠くの人に知らせて喜んでもらえるものがある。それを見て昔を懐かしみ、徳地に帰ってみたい、昔の街道を歩いてみたいという気持ちになれる。

それぞれに感傷にふける思い出が詰まっているマップには魔力があります。中心になってマップの作成に当たられた清水満里子さんのセンスに負うところ大ですが、出来上がったものをみて、該当地区だけへの配布では勿体ないということで徳地全戸に配布されました。

誰となく集まって話し合っていると、このような地域みんなが楽しめるものが生まれてきます。一人ではしんどいけど、おおぜい集まれば苦にならない。昔を知る多くの知識人が集まって「ああでもない、こうでもない」と言い合いながら出来上がった産物です。

このように喜んで使っていただければ、関わった人にはこれほど嬉しいことはありません。それとなく集まって話し合うことをこれからも大切にしたいと思いました。   (集落支援員:市原)

      ―白熱した議論の一場面―